骨盤X線撮影による0-angle計測は分娩予後予測に有用で,経会陰超音波検査における児頭下降度station±0の可視化に応用できる

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  • Measurement of 0-angle on pelvic radiographic imaging for the prediction of delivery prognosis and visualization of station±0 on translabial ultrasonography

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抄録

経腟分娩の進行にともなう児頭下降度は,恥骨下端と両座骨棘を結ぶ平面(station±0)と児頭先進部との位置関係を内診指にて評価する.しかし,内診は主観的で,基準断面となるstation±0を臨床上客観的に評価できない.また,児頭下降度を客観的に評価するために経会陰超音波検査を用いても,座骨棘が母体正中矢状断面になく,超音波検査で描出できないことからstation±0を決定できない.本研究の目的は,経会陰超音波検査で日本人におけるstation±0の位置を可視化するための方法を開発し,分娩予後との関連を調査することである.35〜39週の日本人正常単胎頭位妊婦の骨盤矢状断面X線検査(Guthmann法)の501画像を用いて,投影された座骨棘と恥骨下縁を結ぶ直線をstation±0の平面として,この直線と恥骨長軸とが成す角度を0-angleとして計測した.そのうえで,0-angleの再現性(検者内,検者間誤差)を確認するとともに,0-angleと母体背景因子(年齢,身長,非妊時BMI,撮影時週数)および,分娩予後(帝王切開,器械分娩頻度,分娩所要時間)との関連を検討した.0-angleの平均±標準偏差は118.9±5.9°で正規分布を示し,検者内誤差,検者間誤差の級内相関係数はそれぞれ0.973(95% CI:0.950-0.986),0.967(95% CI:0.938-0.982)であった.全ての母体背景因子において0-angleとの相関性は認めなかった.一方,帝王切開群の0-angleは経腟分娩群に比べ有意に小さく(119.1±6.0°vs116.9±5.1°),特に,帝王切開症例での分娩停止群で有意に小さかった(119.1±6.0°vs115.9±4.5°).0-angleは再現性が良く,母体の体格に依存せず汎用性の高い指標であった.分娩停止となる群で0-angleが有意に小さいことから,骨盤入口面・𤄃部が浅い骨盤は児頭下降不良を引き起こしやすいことが示された.また,児頭下降度を客観的に評価出来る経会陰超音波検査において0-angleを用いてstation±0を可視化することができた.

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