日本人における輪状甲状靭帯部分の解剖学的検討

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  • Dimensions and Vascular Anatomy of the Cricothyroid Membrane in Japanese Cadavers
  • ニホンジン ニ オケル リンジョウ コウジョウ ジンタイ ブブン ノ カイボウガクテキ ケントウ

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抄録

<p>輪状甲状靭帯は体表から近く,同部位正中附近には大きな血管や神経が少ないとされているため,輪状甲状靭帯穿刺・切開術は,緊急時の外科的気道確保の一つとされている。一方で,過去には輪状甲状靭帯部分を14G針で穿刺を行い,致死的出血に至った報告があることからも看過できず,穿刺・切開術を行う部位の解剖を熟知することが重要といえる。今回,日本人における輪状甲状靭帯部分を走行する血管や,穿刺・切開部位のサイズに関する解剖学的な検討を行った。今回,ホルマリンまたはピロリドンで固定された9献体(男性7名,女性2名)を用いた。輪状甲状靭帯部分は上甲状腺動脈から分枝してきた輪状甲状枝により血液供給されていて,本検討では9献体全例(左右の輪状甲状枝が交通した7献体と,右側のみの2献体)に輪状甲状枝が存在し,いずれも輪状甲状靭帯の上方1/3を走行していた。また,この輪状甲状枝から縦に下降する血管が6献体に存在し,さらに4献体において輪状甲状靭帯の中央付近に甲状腺錐体葉が存在した。輪状甲状間の大きさは,男女それぞれの平均値で下甲状切痕の高さでの両側輪状甲状筋内側縁間の距離は,12.3mm,9.5mmで,直下の輪状軟骨上縁との中央の高さでは9.2mm,6.0mmであった。また,輪状甲状靭帯の高さは男女それぞれ平均10.1mm,9.3mmであった。輪状甲状靭帯部分の血管の走行や,穿刺・切開部位の日本人における大きさの理解が,安全に輪状甲状靭帯穿刺・切開術を行う一助となると考えられた。</p>

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