遺伝性骨髄不全症と原発性免疫不全症の治療戦略

  • 石村 匡崇
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野(小児科)
  • 江口 克秀
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野(小児科)
  • 園田 素史
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野(小児科)
  • 白石 暁
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野(小児科)
  • 大賀 正一
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野(小児科)

書誌事項

タイトル別名
  • Treating inherited bone marrow failure syndromes and primary immunodeficiency diseases
  • イデンセイ コツズイ フゼンショウ ト ゲンパツセイ メンエキ フゼンショウ ノ チリョウ センリャク

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抄録

<p>遺伝性骨髄不全症候群は,DNA損傷修復やテロメア維持,リボソームに関連する遺伝子異常によって発症する。輸血依存例に対して血液学的根治を目的に造血細胞移植を選択する場合には,抗がん剤と放射線による影響を考慮した前処置強度の減弱と移植後の長期観察が必要である。原発性免疫不全症は免疫担当細胞および蛋白の異常から易感染性と免疫異常を示す疾患群で,治療の基本は感染予防である。根治を目的に造血細胞移植が選択される小児は少なくないが,自己免疫・自己炎症に対する病態に応じた特異的免疫制御療法(標的治療)も可能となってきた。診断技術の進歩から,造血障害と免疫異常の両方を呈する単一遺伝子病も同定されるようになり,成人例の報告も増えてきた。造血細胞移植の血縁ドナー選択では保因者診断に配慮し,遺伝カウンセリングを必要とする。本稿では遺伝性骨髄不全症と原発性免疫不全症に対する治療戦略と注意点について概説する。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 62 (8), 1327-1333, 2021

    一般社団法人 日本血液学会

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