アジア言語の「EAT」表現の地理類型に向けて―WALSを用いた視覚化の試み―

書誌事項

タイトル別名
  • Toward a Geotypology of EAT-expressions in Languages of Asia: Visualizing Areal Patterns through <i>WALS</i>
  • Toward a geotypology of eat-expressions in languages of Asia: visualizing areal patterns through WALS

この論文をさがす

抄録

<p>アジア言語の多くにおいては,「食う・食らう等(以下「EAT」で統一)」に相当する動詞の主語が「動作主」と「主題,被動作主,経験者」という,いわば相反する意味役割を担う,一群の表現形式を有している.本研究の第一の目的は,アジア諸語における,基本的な経験を表す「EAT」動詞の意味拡張の地理的分布の特徴づけを行うことにある.本研究では「EAT」表現の代表的な用法の地域的分布をWALSの地図上に表示する.その結果,「EAT」動詞のメタファー的拡張のうちある種のものはどの言語にも見られる反面,南・中央・東北アジアのSOV型言語地域言語接触に関する重要な先駆的業績であるMasica(1976)で示された特定の地域のみで観察される拡張も確認された.さらに,本研究では,言語接触が「EAT」表現の拡散・収束に重要な役割を果たし続けていくことには疑いがない反面,意味拡張の放射状のネットワークが,言語接触と独立して補完的な要因として働いている可能性を提唱する.</p>

収録刊行物

  • 言語研究

    言語研究 130 (0), 89-108, 2006

    日本言語学会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ