予防内服後遅発性にCMV肝炎を発症したD+/R-腎移植症例

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抄録

<p>症例は55歳男性。X-2年10月に生体腎移植術を施行した。ABO血液型不適合であったため術前に血漿交換を行い、免疫抑制療法はリツキシマブ、ステロイド、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、バシリキシマブを使用した。術後経過は良好で、血清クレアチニン値は1.0mg/dL前後で安定していた。抗サイトメガロウイルス(CMV)抗体がドナー陽性/レシピエント陰性(D+/R-)であったためバルガンシクロビルの予防的投与を243日間行った。なお、この時点で抗CMV抗体は陽性化していなかった。X年4月(移植後1年半、予防内服終了9か月後)、発熱と肝機能障害(T-bil 0.4mg/dL, AST 181U/L, ALT 153U/L, ALP 1018U/L, γGTP 395 U/L)、C7HRP 529/50,000と高値を認め、CMV肝炎の診断にて緊急入院となった。MMF内服を中止し、ガンシクロビル点滴を開始した。経過中、エベロリムスの内服を追加した。肝機能障害は遷延し、33日間のガンシクロビル点滴が必要であったが、C7HRPは陰性化し、抗CMV抗体も陽性化して第43病日に退院となった。その後再発を認めていない。有効とされる200日間の予防内服終了後、長期経過してから遅発性CMV感染症を発症した症例を経験した。D+/R-症例への対処を、文献的考察をふまえて検討したい。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 305_1-305_1, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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