膀胱炎を伴わなかった腎移植後アデノウイルス尿路感染の1例

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抄録

<p>症例は68歳男性。63歳時にIgA腎症を原疾患とした慢性腎不全に対し妻をドナーとした血液型適合生体腎移植を行った。維持免疫抑制はステロイド、タクロリムス、MMFで行い、血清Crea 1.0mg/dl前後で経過していた。血尿と顔面浮腫を主訴に当院救急外来を受診した。受診時に膀胱炎症状と発熱は認めなかったが、腹部エコーで移植水腎症および移植尿管拡張を認めた。CTでは尿路結石や腫瘍性病変を認めなかった。膀胱鏡を後日施行したところ、膀胱粘膜に異常は認めず、移植尿管からの血尿流出を認めた。その後発熱と血清Crea上昇を認めた。ウイルス感染症を疑いMMFを中止し、エベロリムスを開始した。尿中Decoy cellと血中BKウイルスPCR検査は陰性、尿中アデノウイルスPCR陽性からアデノウイルス感染と診断し、バルガンシクロビルを開始したところ顔面浮腫、発熱、血尿、血清Creaは改善した。膀胱炎症状を伴わない血尿であっても、アデノウイルス感染症の可能性を念頭に置く必要がある。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 386_1-386_1, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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