脳循環と脳脊髄液の流れを統合した動態解析モデル

  • 山田 茂樹
    滋賀医科大学 医学部 脳神経外科学講座 東京大学大学院情報学環 生産技術研究所 分散数値シミュレーション開発研究室
  • 大島 まり
    東京大学大学院情報学環 生産技術研究所 分散数値シミュレーション開発研究室
  • 尹 彰永
    東京大学大学院情報学環 生産技術研究所 分散数値シミュレーション開発研究室
  • 伊藤 広貴
    富士フイルム株式会社 メディカルシステム開発センター
  • 渡邉 嘉之
    滋賀医科大学 放射線医学講座
  • 前田 修作
    大阪大学大学院基礎工学研究科 機能創成専攻生体工学領域、生体機械学講座 バイオメカニクス研究室
  • 武石 直樹
    大阪大学大学院基礎工学研究科 機能創成専攻生体工学領域、生体機械学講座 バイオメカニクス研究室
  • 大谷 智仁
    大阪大学大学院基礎工学研究科 機能創成専攻生体工学領域、生体機械学講座 バイオメカニクス研究室
  • 和田 成生
    大阪大学大学院基礎工学研究科 機能創成専攻生体工学領域、生体機械学講座 バイオメカニクス研究室
  • 野崎 和彦
    滋賀医科大学 医学部 脳神経外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Modeling of integrated fluid dynamics of cerebral circulation and cerebrospinal fluid flow

抄録

<p>【背景・目的】閉鎖空間の頭蓋骨内を脳血液がスムーズに灌流するために脳脊髄液が拍動し、脳代謝による老廃物の排泄と放熱のために脳間質液と脳脊髄液が灌流する(グリンファティックシステム)と考えられている。この複雑な脳内の流体の動きを具現化した数理モデルは未だ存在しない。我々は、主要な脳動脈を3Dモデル、その末梢動脈を1Dモデル、さらに細動脈を0Dモデルで結合し、これを全身循環モデルに組み込んだマルチスケール脳循環数理モデルをこれまでに構築しており、このモデルに脳脊髄液の動きを統合したいと考え、現状と課題を報告する。【方法・結果】健常者の3D MRIから形体情報を収集し、4D Flow MRIから3D流速を収集して、3D画像解析ワークステーションで計算する。脳、脳脊髄液腔(脳室・くも膜下腔)と脳血管は、各々の撮影条件でデータ収集が必要であり、現状は統合できないため、それぞれ個別にサーフェイスモデルを作成し、流速情報を3Dモデルの流入・流出境界条件を設定して、CFD解析に用いる必要がある。【結論】心拍に同期した脳脊髄液の3D動態は、脳血液の灌流による脳の拍動が駆動力となっており、脳循環に連動している。新知見を考慮した脳循環と脳脊髄液の動きを統合した動態解析の数理モデルは非常に複雑であり、未だ課題は多い。また、加齢に伴う脳萎縮、脳代謝の低下、動脈硬化は、脳循環と脳脊髄液の動態に大きく影響すると考えられるが、未解明の領域である。</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual59 (Abstract), 185-185, 2021

    公益社団法人 日本生体医工学会

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