O-4-05 重症児(者)病棟における流涎・分泌物過多、過緊張、フェニトインによる骨軟化症への対応

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抄録

流涎・分泌物過多、過緊張、骨軟化症は重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))では大きな問題であり、その薬物治療を検討した。 方法 ①流涎・分泌物過多:重症児(者)病棟で流涎・分泌物過多を呈し、不潔・臭い、むせ込み・吸引頻回・唾液の誤嚥による発熱を繰り返し、保険適用外であるが、流涎に有効だったが発売中止になった硫酸アトロピンと同じベラドンナアルカロイドであるロートエキスの効果と副作用を介護者に説明し、同意が得られた32例。3〜51歳、大島分類1が15例、2が7例。ロートエキスは成人上限量90mgを年齢・体重で換算した量の1/2で開始、2週間ごとに10-20mgずつ最大3mg/kgまで増量した。 ②過緊張:ジストニアによると思われる著しい過緊張を示し、ダントロレン、バクロフェン、チサニジン、トリヘキシフェニジルなどが無効だった6例。10〜49歳、全例大島分類1。不安や精神的緊張が一因であると考えて保険適用外であるがブロマゼパムを成人量上限15mgを年齢・体重で換算した量の1/2で開始し、最大0.6mg/kgまで漸増した。 ③フェニトイン(PHT)による骨軟化症:PHT 服用中でAlP高値、Pi低値を示した5例。39〜50歳、大島分類1が4例、2が1例。強直、強直間代発作に有効な他の抗てんかん薬に置換しPHTを減量中止した。 結果 ①流涎19例では有効18例、やや有効1例で、バスタオル多数使用、頻回着替え、臭いは消失し、全例継続中。分泌過多13例では、吸引回数激減・むせ混みが軽減、誤嚥性肺炎・無気肺消失各1例、持続吸引不要1例など有効11例、やや有効1例、無効1例(胃残増加のため1か月で中止)であり、副作用は胃残増加3例、腸蠕動低下、痰が固くなり引きにくい各1例であり、中止は胃残増加の2例だった。重症児(者)病棟では便秘は問題なかった。 ②全例にかなり有効で、介護や生活が改善した。 ③PHT中止により、AlPは348-582→214-305に、Piは1.8-3.7→2.5-3.7に改善した。 結語 上記の3つの対応は重症児(者)に有用である。 申告すべきCOIはない。

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