Status quo bias that undermies crime prevention behavior

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  • 犯罪予防行動を妨げる現状維持バイアス―高齢者の特殊詐欺対策を例にして―

Abstract

<p>近年,高齢者の特殊詐欺被害が大きな社会問題になっており,警察や行政は,在宅時の留守番電話の常時使用,防犯性の高い電話機購入といった犯罪予防行動を促進するために防犯教室や補助金交付といった対策を実施している。これまでの犯罪予防行動の促進では,防護動機理論や計画的行動理論に基づいて,脅威認知,予防行動の効果性認知,自己効力感,主観的規範といった要因に注目した脅威アピールが行われてきたが,健康行動など多くの分野で確認されている現状維持バイアスの影響は十分に検討されていない。このため,65-84歳の高齢者を対象に郵送調査を実施した(回収1874票)。重回帰分析の結果,特殊詐欺に関する複数の予防行動について,「今の電話機の機能で困っていない」といった現状維持バイアスは,その効果性認知やコスト認知,自己効力感を統制した上でも予防行動意図を有意に引き下げることが示された。これらの結果からは,特殊詐欺防止のための介入においては,従来行われてきた脅威アピールに加えて,行動経済学的な視野からの,現状維持バイアスといった行動の阻害要因に対する対応が求められる。</p>

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