iPS細胞を用いた腎疾患に対する再生医療の開発

  • 長船 健二
    京都大学iPS細胞研究所増殖分化機構研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Development of iPS Cell-based Regenerative Medicine for Kidney Diseases
  • iPS サイボウ オ モチイタ ジンシッカン ニ タイスル サイセイ イリョウ ノ カイハツ

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抄録

<p>医学的及び医療経済的問題を引き起こしている腎疾患に対する再生医療の開発が期待されている.近年,発生生物学の知見に基づき,ヒトiPS(induced pluripotent stem)細胞(人工多能性幹細胞)から糸球体と尿細管を派生させるネフロン前駆細胞と集合管から膀胱の一部までに分化する尿管芽の2つの腎前駆細胞の分化誘導法が開発され,それらから糸球体,尿細管,集合管が連結した腎組織の作製も可能となっている.また,ヒトiPS細胞由来腎前駆細胞の細胞療法が急性腎障害(acute kidney injury:AKI)モデルマウスにおいて腎障害を軽減する治療効果が見出され,ヒトiPS細胞由来エリスロポエチン産生細胞の細胞療法が腎性貧血モデルマウスの貧血を生理的にコントロールすることが示された.遺伝性腎疾患特異的iPS細胞を用いた新規腎疾患モデル開発と創薬研究も著しく進展している.今後,ますますの研究の進展によって,移植用腎組織の作製と慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)や腎性貧血に対する細胞療法,遺伝性腎疾患に対する新規治療薬の開発が期待される.</p>

収録刊行物

  • 日本内科学会雑誌

    日本内科学会雑誌 109 (12), 2553-2561, 2020-12-10

    一般社団法人 日本内科学会

参考文献 (14)*注記

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