CQ3 日本のIgE依存性鶏卵アレルギー患者もしくはその疑いのある者において,食物経口負荷試験は完全除去回避に有用か?

  • 村井 宏生
    福井大学医学系部門医学領域小児科学
  • 苛原 誠
    国立成育医療研究センターアレルギーセンター総合アレルギー科
  • 杉本 真弓
    徳島大学病院小児科
  • 高岡 有理
    大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター小児科
  • 高橋 亨平
    国立病院機構相模原病院小児科
  • 和田 拓也
    富山大学医学部小児科
  • 山本 貴和子
    国立成育医療研究センターアレルギーセンター総合アレルギー科
  • 岡藤 郁夫
    神戸市立医療センター中央市民病院小児科
  • 二村 昌樹
    国立病院機構名古屋医療センター小児科
  • 山田 佳之
    群馬県立小児医療センターアレルギー感染免疫・呼吸器科 東海大学医学部総合診療学系小児科学
  • 海老澤 元宏
    国立病院機構相模原病院臨床研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Is oral food challenge useful to avoid complete elimination in Japanese patients diagnosed with or suspected of having IgE-dependent hen's egg allergy?

抄録

<p>【背景】IgE依存性鶏卵アレルギーは全世界において頻度が高い食物アレルギーの一つである.鶏卵アレルギーの患者は,ナッツ類などの他のアレルゲンに比べて耐性獲得がなされやすいことが知られている.食物経口負荷試験(以下OFC)は,IgE依存性食物アレルギーと診断された,あるいはその疑いのある患者に対してしばしば行われるものの,鶏卵OFCが,IgE依存性鶏卵アレルギーの患者にとって完全除去回避を行う目的で行う際に,それが有用であるかどうかに関しては明確なエビデンスがない.</p><p>【方法】IgE依存性鶏卵アレルギーと診断された,またはその疑いのある日本人患者にOFCが行われた論文を抽出した.鶏卵の完全除去を回避するためにOFCが有用であるかどうかを,(1)完全除去を回避できた患者数,(2)重篤な有害事象ありの患者数(SAE),(3)有害事象ありの患者数(AE),(4)生活の質(QOL)の改善,(5)免疫学的変化の観点から評価を行った.</p><p>【結果】59文献が対象となり,すべての文献が負荷前の状態と比較した症例集積,もしくは症例報告であった.全体の鶏卵OFC陰性率は62.7%で,陽性群には部分解除が可能であった報告も存在した.全体の鶏卵のOFCに対する陰性率は62.7%であったが,部分解除が可能であった報告まで広げると,OFC陽性者のうち71.9%が卵を摂取することができた.AEは4,182件中1,146件に出現しており,2件がSAEに移行した.QOLの改善と免疫学的変化の報告はそれぞれ2件ずつ存在した.</p><p>【結論】鶏卵OFCは完全除去を回避する目的で実施することは有用であると考えられるが,安全性には十分に配慮すべきである.</p>

収録刊行物

参考文献 (22)*注記

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