偶然と党略が生み出したインターネット投票 :

書誌事項

タイトル別名
  • Party Politics and Fortuity behind the I-voting introduction in Estonia
  • 偶然と党略が生み出したインターネット投票 : エストニアによる世界初導入へと至る政治過程
  • グウゼン ト トウリャク ガ ウミダシタ インターネット トウヒョウ : エストニア ニ ヨル セカイ ハツ ドウニュウ エ ト イタル セイジ カテイ
  • エストニアによる世界初導入へと至る政治過程

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抄録

<p>エストニアが世界初の全国規模インターネット投票を導入した背景として, ①ソ連統治から離脱する過程の必要性から先行していた共通住民IDカードの存在と, ②民族主義的・自由主義的政党が長期間に渡り与党として君臨し, インターネット投票が自党の得票増に有効であるという主観的認識のもと強行採決も厭わない戦略を展開した, という2点が重要であった。特に論点となったのは, 投票環境を監督できないインターネット投票独特の問題に対する, 繰り返しの再投票による上書きという不正予防措置が, 可能であるか/合憲であるかという点にあったが, その議論の裏には各党の得票インセンティブも存在した。本稿では, 議事録・インタビュー・新聞報道なども用いて, 制度導入時の省内や議会内での議論を追い, 最終的には立法・行政・司法すべてを巻き込んだエストニア憲政史上類を見ない政治的闘争の結果としてインターネット投票が導入された過程を示す。それは, 電子立国としての長期的戦略と総意に基づいて導入されたというよりは寧ろ, 偶発的要素の中で様々なアクターが利害をめぐって相争った帰結とも言えるものであった。</p>

収録刊行物

  • 年報政治学

    年報政治学 69 (2), 2_127-2_151, 2018

    日本政治学会

参考文献 (4)*注記

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