柑橘の機能性食品開発と質量分析イメージング解析への応用

DOI オープンアクセス
  • 芳之内 翔成
    東京農工大学大学院生物システム応用科学府共同先進健康科学専攻
  • 富成 司
    東京農工大学大学院工学府生命工学専攻
  • 平田 美智子
    東京農工大学大学院工学府生命工学専攻
  • 宮浦 千里
    東京農工大学大学院生物システム応用科学府共同先進健康科学専攻 東京農工大学大学院工学府生命工学専攻
  • 新間 秀一
    大阪大学大学院工学研究科生物工学専攻
  • 稲田 全規
    東京農工大学大学院生物システム応用科学府共同先進健康科学専攻 東京農工大学大学院工学府生命工学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Functional Food for Citrus and Application of Analysis for Mass Spectrometry Imaging

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抄録

<p>超高齢社会の日本において,食による生活習慣病の予防は重要である.柑橘に含まれるキサントフィルやポリフェノールなどの機能性成分は,抗酸化作用などの健康維持に有用な効果を持つことが明らかとなっている.機能性表示食品がその生理機能を明らかとし,農産物への応用が進められている昨今では,生理活性を有する天然由来因子・化合物の定性分析および定量分析の高機能化は必要性が高まっている.現在,液体クロマトグラフィー質量分析(Liquid Chromatography-Mass Spectrometry; LC-MS)など,質量分析法は農産物の機能性成分の定性や定量分析に広く用いられている.一方,農産物における天然由来因子・化合物の組織分布解析は可食部の判定や生産管理において,第3 の指標として重要であることが明らかとなってきた.近年,マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)を応用した技術として,質量分析イメージング法(MSI)が開発された.MSI は試料表面を直接質量分析することにより,任意のマススペクトルのピークを選択し,試料表面上での分布強度を得る分析手法である.筆者らはMSI 法により,農産物における機能性成分や残留農薬などの分布解析を進めてきた.そこで,本研究では,in vitro およびin vivo 実験系を用いた生理活性試験とともに,柑橘の組織切片を用い,MSI 法による機能性成分の分布解析を行った.その結果,フラボノイド成分は果皮に多く分布し,一方,カロテノイド成分は果実に多く分布することが示された.これらより,MSI 法は柑橘をはじめとする農産物の機能性成分の空間的な分布解析が可能となり,機能性表示食品の開発などに向けた幅広い応用分析が可能であることが示唆された.</p>

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