全国調査による歯科衛生士卒業年次生の初職における希望就業年数および就労観

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タイトル別名
  • The employment number of years in the first job desired and view of employment in the dental hygienist student of final year by the nationwide survey in Japan
  • ゼンコク チョウサ ニ ヨル シカ エイセイ シソツギョウ ネンジセイ ノ ハツ ショク ニ オケル キボウ シュウギョウ ネンスウ オヨビ シュウロウカン

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抄録

<p>目的:高齢化の進展に伴い,医療・介護と連携した歯科保健医療サービスの提供が求められ,地域における歯科衛生士の役割が重要となっている.しかし,従来から歯科衛生士不足が問題視され,若年層の歯科衛生士においては就業者数の減少傾向が認められている.本研究の目的は,歯科衛生士学生が卒業直後の就職先で希望する勤務年数と就労に対する意識を明らかにすることである.</p><p>方法:最終学年の学生が在籍する歯科衛生士養成学校162校(大学 9 校,短期大学14校,専門学校139校)の卒業年次生を対象に,2019年11月に無記名自記式質問紙調査を郵送法にて実施した.質問は,①属性,②歯科衛生士志望の肯定感,③歯科衛生士としての生涯勤続希望,④歯科衛生士の仕事のやりがい,⑤キャリア展望,⑥養成学校でのキャリア教育の受講経験,⑦ワークライフバランスの意向,⑧研修参加希望と認定歯科衛生士の取得意向,⑨歯科衛生士を長期継続するために重要なこと,⑩卒業直後の就職先での希望勤務年数,⑪就職先を決める際に重視すること,⑫卒業直後の就職に対する不安なこととした.分析は,希望する勤務年数別に就労に対する意識について独立性の検定を行った.</p><p>結果:返送があった150校(返送率:92.6%)の学生6,270名の回答のうち,不備のない6,264名を分析対象とした.学生の約 9 割が高校修了後に養成学校の昼間部に進学した20歳代の女性で,卒業後すぐに歯科衛生士として就職する者は93.1%だった.卒業後初めての就職先で希望する勤務年数は,「 3 年未満」19.5%,「 3 ~ 5 年未満」45.1%,「 5 年以上」35.5%だった.希望勤務年数と就労観に有意な関連があった(p<0.05,χ2検定).全体では,キャリア展望が描けていたのは42.6%,キャリア教育の受講経験のある者は26.2%,ワークライフバランスにおいて仕事と生活と両立したい者は76.1%だった.就職先決定時の重視項目は「職場の人間関係」,就業継続の重要項目は「仕事のやりがい」,就職に対する不安要素は「自分の技術・知識不足」と回答した者が最も多かった.</p><p>結論:歯科衛生士学生の,卒業直後の就職先における希望勤務年数と就労に対する意識との関連が示唆された.若年歯科衛生士の就業定着に向けた支援対策として,卒前のキャリア教育の拡充および職場での良好な人間関係の構築と新卒歯科衛生士の就労意欲と知識・技術を支える取組みの確保が重要であることが示された.</p>

収録刊行物

  • 保健医療科学

    保健医療科学 70 (5), 598-606, 2021-12-28

    国立保健医療科学院

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