市場経済モデルに基づくCPU資源融通システム
抄録
多くの計算機(特に個人用計算機)は常に高負荷状態にあるわけではなく,ユーザが使っていない聞はCPUをはじめとする計算資源はアイドル状況にあり有効的に使われていないことになる.そこれで,我々はアイドル状況の計算資源を有効利用するシステムとしてユーザが席を立つなどで計算機が不使用状態になるとシステムからタスクが投入され,ユーザが席に戻り作業を再開するとタスクは他のアイドル計算機に移送し移送先でタスク処理を再開するシステム“BG Task Space"を提案し実装した.提案システムでは,ユーザは自分の使っていないときに他人に計算機を使わせる代わりに、自分が処理したいタスクがあるときは他人の不使用計算資源が使用可能となる.これは,自分の本来の作業に支障を来すことなしに,他人の不使用計算資源を使用することが可能であることを意味している. しかし、アイドル資源を融通しあうことによりお互いに利益を得る提案システムの問題点として不公平の問題が残っている.すなわち,資源を多量に使用するがほとんど提供しないユーザとその逆のユーザの不公平,あるユーザが多くのタスクを投入すれば使用資源が多くなるなどの不公平の問題が残っている.そこで我々は本稿においてこの問題の解決策として市場経済モデルに基づいたアイドルCPU市場を提案する.アイドルCPU市場では,資源提供ユーザと資源消費ユーザは売買契約を締結しアイドル資源を使用することになる.そして,市場経済モデルにより,以下のことが実現できる. ①資源消費者が代価を払い,資源提供者が代価を受け取ることが可能となる、②資源提供の代価は市場原理により適正な価格(需要と供給がバランスする価格)に自然に収束する,③資源提供の強いモチベーションになる、④資源消費ユーザの多様なニーズに対応できる,⑤需要過多で資源不定であるときの資源割り当てタスクの選択が可能(価格で競争).また,将来的には⑥競争によるサービスの向上が図れる,の実現も期待できる.提案システムの実装は試作段階であるが、資源提供者は市場に対し自計算機を登録することが可能であり,資源消費者は市場からアイドル計算機のリストを獲得することが可能である.今後は、様々な販売戦略,購入戦略を持ったエージェントを実装し市場の振る舞いを実験し,市場の評価を進める.
収録刊行物
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- マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集
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マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集 2001 (13), 127-132, 2001-10-24
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050855522091047936
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- NII論文ID
- 170000073981
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- Web Site
- http://id.nii.ac.jp/1001/00088790/
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- conference paper
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles