トランザクショナル記号実行

この論文をさがす

抄録

ソフトウェアの信頼性や性能の解析に利用される動的記号実行は,静的な解析手法に比べ正確かつスケーラブルという利点を持つ.しかし,大規模分散データ処理系のように並列分散かつ動的に再構成可能な計算システムを対象とする場合,従来の動的記号実行は次の理由で機能しない:(1)並列分散計算の非決定性により解析結果が不安定,(2)対象システムの動的再構成によって解析データの整合性が破綻する. 我々はこれらの問題の解決に向け,トランザクショナル記号実行(TXSE)と呼ぶ新たな動的解析方式を提案する.TXSEは,並列分散データ工学分野で培われたトランザクション処理(TP)の概念に基づき,動的記号実行の枠組みを拡張したものである.具体的には,(1)動的記号実行の制約処理をTPの競合検出/解消問題に帰着させる事でパス/状態解析の網羅率を安定化し,(2)制約を含む動的解析データをマルチバージョン管理する事でシステムの再構成前後での解析整合性を維持する.本発表では,TXSEの概要と有効性の予備評価を報告する.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ