複数の無線伝送路を活用した高品質映像伝送に関する一研究

抄録

Long Term Evolution (LTE) やWi-Fi などの複数の無線伝送路を映像伝送に利用する技術は,近年,無線端末への高品質映像配信を実現する方法として注目を浴びている.これまでの研究では,複数の無線伝送路を映像の高品質化に利用するために,階層映像符号化技術を用いて映像情報を圧縮・伝送していた.しかしながら,無線端末の移動や電波伝搬環境の変化によって無線伝送路の品質が変動した場合,ビット誤りによる映像品質の急落,量子化による映像品質の一定化が生じる.本研究では,各無線端末がLTE および単一あるいは複数のWi-Fi アクセスポイントから映像情報を受信できるものとする.このとき,各無線端末が映像受信に利用可能な無線伝送路数に応じて映像品質を向上すること,無線伝送路品質の改善に対して比例的に映像品質を改善することを達成する伝送手法を提案する.提案手法では,デジタル映像符号化技術,圧縮センシング,ニアアナログ変調を利用する.デジタル映像符号化技術を用いて圧縮した映像情報は,多くの無線端末が受信可能なLTE を介して伝送することで,各無線端末に低品質映像を提供する.また,オリジナルの映像情報と圧縮後の映像情報から取得した残余情報に,圧縮センシング,ニアアナログ変調を利用して複数のWi-Fi アクセスポイントから送信することで,伝送路品質の改善にしたがって映像品質を改善することができる.また,Wi-Fi アクセスポイントから一部の残余情報のみを受信できるとき,圧縮センシングに基づく復元アルゴリズムを用いることで高品質化を達成することができる.性能評価から,Wi-Fi アクセスポイントから映像情報を受信できるとき,その伝送路品質に応じて映像品質を向上できることが分かった.また,無線端末が複数のWi-Fi アクセスポイントから映像情報を受信できるとき,映像品質を8.2dB 改善できることを明らかにした.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050574047071597696
  • NII論文ID
    170000177824
  • Web Site
    http://id.nii.ac.jp/1001/00189957/
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    conference paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

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