データ同化による浸水位推定手法の提案と都市型水害での精度検証

抄録

本論文では,浸水の上昇速度,拡大過程,危険水位に至るまでの時系列を実時間で把握するための,状態空間モデルを用いたデータ同化による浸水位推定手法を提案する.数値解析シミュレーションを用いて生成した浸水予測の基礎データについて,観測データとの因果関係を解析し,基礎データを補正することで,精緻な浸水の時空間解析を実現する.はじめに,数値解析シミュレーションを用いて様々な降水量のパターンでの浸水予測を行い,高分解能(5m-10m)の精緻な地理空間について,浸水深を表す状態空間の時系列データのデータセットを構築する.次に,各格子に対する氾濫水の流入量・流出量を,状態空間モデルの変数として,多変量解析を行う.愛知県津島市で発生した内水氾濫での観測データを利用し,提案手法の性能評価を行う.土木研究所の開発した氾濫解析シミュレーション NILIM を用いて,既往水害で観測された降水量,河川水位,氾濫時刻などから数値シミュレーションを行い,対象地区の 5-10m 格子ごとの浸水過程の時系列データを作成した.約 60cm の浸水が発生した愛知県津島市の水路 4 地点での観測データを用いて,本手法を適用したところ,観測地点での,数値解析シミュレーションでは 0 であった浸水位が状態空間モデルを用いた推定により実測値と比べ 10cm 以内の誤差となった.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050855522082721536
  • NII論文ID
    170000181356
  • Web Site
    http://id.nii.ac.jp/1001/00202266/
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    conference paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

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