割れ籾に関する調査研究

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Abstract

割れ籾の発生は、早期栽培では例年とも出穂期の早い品種で観察するところである。特に、障害型冷害年次、登熟良好な年次には多く発生する。われわれは、種籾としての観点から割れ籾を検討してつぎの結果を得た。1. 割れ籾は、籾の受入れ能力を超えて、光合成産物が転流することにより起り、年次によりその発生率は異なり、また、品種によっても異なる。一般に出穂期の早い品種に多く発生する。2. 精選籾中の割れ籾率は、穎花の着生部位によって異なる。第I次分げつ茎に高く、第II次分げつ茎がこれにつぎ、主稈着生籾には低かった。枝梗別では二次枝梗着生籾が高かった。精選籾千粒重から見て、弱勢穎花に発生が多いものと思われた。3. 精選籾中の割れ籾の粒厚は、正常籾より厚い傾向であった。割れ籾玄米の粒厚は、割れ籾発生率の多少にかかわらず正常籾玄米より小なる傾向が見られた。粒重は、割れ籾発生率の低い年次では、籾・玄米ともにやや低く、発生率の高い年次では差は認められなかった。4. 割れ籾は、正常籾にくらべ発芽勢は高く、平均発芽日数は短かかった。発芽率、異常発芽率、発育停止率、不発芽率には差がなかった。種子消毒すると、異常発芽率が高くなったが、正常籾も同様で、割れ籾、正常籾の差は認められない。5. 土育苗した苗の生育は、稚苗率、苗の生育、乾物重ともに正常籾との差はなかった。苗揃いは、草丈で幾分劣るが、葉数、第1葉鞘高には差がなく、種籾として使用できるものと認められた。しかし、割れ籾は正常籾にくらべ、発芽は幾分早い傾向にある。このことは、割れ籾混入の種籾では十分な浸種を行ない、正常籾との吸水差を少なくするなどの留意をする必要があろう。なお、発芽力、育苗の検討をするに当たり、正常籾玄米を供試検討したが、玄米では、発芽率、稚苗率は低く、異常発芽率は高く、草丈、葉数、葉鞘高並びにその揃いの程度は劣った。

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