駅館川水系津房川支流におけるアマゴOncorhynchus masou ishikawaeとニジマスO.mykissの生息個体数の変動と成長

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抄録

駅館川水系津房川支流においてアマゴおよびニジマスの資源調整を行うための基礎資料を得るために標識連続採捕調査を行った。2)津房川支流のアマゴの成長は春季が他の季節に比べて早かった。また、湧水が主体であるため水温変化が少なく、冬季に目立った成長の停滞は見られなかった。3)アマゴ、ニジマスともに大型魚に成長の停滞が認められた。これは餌が相対的に少なく水深が浅いため、大型魚が定位し、餌を独占できる大きな淵がないことによると考えられた。4)ニジマスの産卵行動、産卵床、浮出した稚魚、成長および成熟などを3年間に渡って観察し、この水域にニジマスが自然繁殖していることを確認した。5)アマゴの産卵床がニジマスに掘り返されていることや夏季や秋季にアマゴに比べてニジマスの成長が早いことなどから、アマゴがニジマスから淘汰圧を受けていることが予想された。6)しかし、アマゴはニジマスより産卵期が早いことから、春先にアマゴの稚魚はニジマスの稚魚に比べて尾叉長で2倍以上大きく、ニジマスがアマゴから高い淘汰圧を受けている可能性も考えられた。実際にアマゴの生息密度が高い年にはニジマスの生残率は低下した。7)s.0.8に落差114cmの小滝があり、下流から大型のニジマスの遡上を困難にしていることが、この上流でアマゴが優先していることに大きな影響を与えていると考えられた。8)稚魚期の生息場所である淵尻やたまりを造成することにより、稚魚期の減耗を軽減させることができると考えられた。

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