福島原発事故後の霞ヶ浦における淡水巻貝・二枚貝の放射性セシウム137(<sup>137</sup>Cs)の濃度推移,濃縮係数および生態学的半減期

  • 松崎 慎一郎
    独立行政法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター
  • 佐竹 潔
    独立行政法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター
  • 田中 敦
    独立行政法人国立環境研究所 環境計測研究センター
  • 上野 隆平
    独立行政法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター
  • 中川 惠
    独立行政法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター
  • 野原 精一
    独立行政法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • The fate, concentration factors and ecological half-life of cesium-137 in a freshwater snail and a freshwater mussel in Lake Kasumigaura after the Fukushima Nuclear Accident
  • 福島原発事故後の霞ヶ浦における淡水巻貝・二枚貝の放射性セシウム137(¹³⁷Cs)の濃度推移,濃縮係数および生態学的半減期
  • フクシマ ゲンパツ ジコ ゴ ノ カスミガウラ ニ オケル タンスイ マキガイ ・ ニマイガイ ノ ホウシャセイ セシウム 137(¹ ³ ⁷ Cs)ノ ノウド スイイ,ノウシュク ケイスウ オヨビ セイタイガクテキ ハンゲンキ

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抄録

福島第一原子力発電所事故後に,霞ヶ浦(西浦)の沿岸帯に2定点を設けて,湖水の採水ならびに底生動物である巻貝(ヒメタニシ,Sinotaia quadrata histrica)と付着性二枚貝(カワヒバリガイ,Limnoperna fortunei)の採集を経時的に行い,それらの放射性セシウム137(137Cs)濃度(単位質量あたりの放射能;Bq kg-1)を測定した。これらのモニタリングデータから(2011年7月~2014年3月),貝類における137Csの濃度推移,濃縮係数ならびに生態学的半減期を明らかにした。湖水および貝類の137Cs濃度は定点間で差は認められず,経過日数とともに減少していった。両地点でも,カワヒバリガイよりも,ヒメタニシの137Cs濃度のほうが有意に高かった。濃縮係数を算出したところ,ヒメタニシのほうが2倍近く高かった。巻貝と二枚貝は,摂餌方法や餌資源が異なるため,137Csの移行・蓄積の程度が異なる可能性が示唆された。また生態学的半減期は,ヒメタニシで365~578日,カワヒバリガイで267~365日と推定され,過去の実験的研究で報告されている生物学的半減期よりもはるかに長かった。このことから,餌を通じた貝類への137Csの移行が続いていると考えられた。

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参考文献 (20)*注記

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