ニホンジカの影響を受けた山梨県櫛形山の半自然草原における植生復元

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Abstract

ニホンジカの個体数は,日本各地において増加している。環境省の最新の推定によれば,北海道を除く都府県でのニホンジカの推定個体数は,2002年度に約100万頭前後であったのが2012年度末には約249万頭と増加傾向が続いている(環境省 改正鳥獣法に基づく指定管理鳥獣捕獲等事業の推進に向けたニホンジカおよびイノシシの生息状況等緊急調査事業の結果について,http://www.env.go.jp/press/100922.html 2015/04/28確認)。それに応じて,ニホンジカが生息している場所での影響は無視できないほど大きくなっている。2010年代以降だけでも,植生への影響,樹木の剥皮や摂食とそれによる樹木の更新阻害,植生への影響を介して他の生物群への影響など多くの論文が発表されている。さらには,過度な摂食や踏みつけによる植生の劣化は,土壌侵食ももたらしている。森林の持つ機能には階層性があり,中でも土壌保全機能は,それが失われると他の機能を発揮することが不可能となることから,最も重要な基盤的機能として考えられている。したがって,土壌へのニホンジカの影響の大きさに鑑みて,水利科学誌でもニホンジカシリーズが開始されたのであろう。

Journal

  • 水利科学

    水利科学 (347), 109-120, 2016-02

    水利科学研究所

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