兵庫県内におけるブナ科樹木3種の堅果の豊凶とツキノワグマの餌資源としての評価

抄録

・県内本州部の全域において、ブナ科樹木3種(ブナ、ミズナラ、コナラ)の結実の豊凶を6年間(2005年~2010年)にわたってモニタリングした。・3樹種の豊凶は年ごとに増減を繰り返すパターンを示した。コナラとミズナラの豊凶リズムは非常に類似しており、この2樹種の豊凶には同一のメカニズムが働いている可能性が考えられた。一方で、ブナと上記2種の豊凶リズムは異なっていた。・ツキノワグマが越冬のために秋季に摂取する必要のあるエネルギー量の試算に基づいて、ブナ林、コナラ林、ミズナラ林がツキノワグマに供給可能な餌資源量とその年変動を試算した。この結果、この3樹種のいずれかが豊作の年は、ツキノワグマはその樹種が優占する森林内の比較的狭い面積を採食エリアとするだけで、十分必要エネルギーをまかなえるものと考えられた。一方、3樹種が凶作の年には餌資源を求めてツキノワグマの行動範囲が広がると考えられた。

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