兵庫県に生息する野生ニホンザル個体群の行動域および集落出没状況とその要因

Abstract

・兵庫県に生息している9つの野生ニホンザル個体群の行動域や集落出没状況に関する基礎的情報を整理し、集落出没要因と最近起こった行動域の変化の要因について考察した。・群れの行動域については、篠山A群(151.3km2)、篠山B群(64.5km2)が大きく、他の群れはいずれも20~40km2の範囲の大きさだった。・すべての群れが集落に出没しているが、集落出没率には群れ間で差があり、城崎A群、篠山A群、篠山B群、篠山C群では、集落出没率が70%を超えていた。大河内C群は40.2%で最も集落出没率が低かった。・各群れの集落への出没は、集団サイズに対する森林内の食物資源量の不足が主な要因となっている可能性は低く、質の高い採食場所である農地や集落環境への選好の結果と考えられた。・2007~2009年度と2010~2011年度の行動域を比較すると、篠山C群、大河内B群では行動域サイズが大きく拡大しており、被害対策の推進が要因となっている可能性があった。また、美方A群、大河内A群では行動域サイズが縮小しており、両群に対して集中的に実施された有害捕獲が影響している可能性があった。・効率的な被害管理手法を検討するために、個体数の増減や各地の被害対策の推進が群れの行動域の変動や集落出没率にどのような影響を与えるかについて注意深くモニタリングしていく必要がある。

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