救命しえた<I>Vibrio vulnificus</I>による敗血症の一例と検出菌の細菌学的性状

書誌事項

タイトル別名
  • A Case Report of <I>Vibrio vulnificus</I> with Successful Treatment
  • 救命しえたVibrio vulnificusによる敗血症の一例と検出菌の細菌学的性状
  • キュウメイシエタVibrio vulnificus ニ ヨル ハイケツショウ
  • A Case Report of Vibrio vulnificus with Successful Treatment

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抄録

Vibrio vulnificusによる敗血症は, 本症では稀であり数例の報告をみるが, 生存例は少ない. 我々は本菌による敗血症の1例を経験し救命しえたので, 検出菌の生物学的性状も併せて報告する.<BR>症例は61歳男性. 肝硬変を有する. 河口での作業に従事して2日後, 39.8℃の発熱と両足背部腫脹に気づき, 近医にて治療をうけるも, 発熱持続し, 有痛性腫脹が両下腿部まで拡大増悪したため入院した. 入院時, 両下腿部以下は著明な腫脹と疼痛を認め, 両下腿伸側面に水泡形成と小出血斑様発赤の散在をみた. 入院時検査所見から, 下腿の蜂窩織炎より敗血症を併発していると考え, 入院直後よりCTM1日4g, さらにGM1日80mg, γ-globulinを投与した. 入院時の静脈血および下腿の皮下膿瘍部よりV. vulnificusが検出されたためMINO1日200mgを追加し症状の軽快をみた. 菌の侵入門戸としては, 発症2日前に河口の掃除に従事しており, 患者は両側下肢に強度の白癬を有していたので, この部からの侵入を推定した.<BR>検出菌の性状は単極毛を有するグラム陰性桿菌であり, Hollisら (1976年) の報告と一致し, V. vulnificusと同定された. 検出菌の薬剤感受性については, ディスク法では, ペニシリン系, セフェム系, アミノグリコシド系, テトラサイクリン系薬剤に感受性を示した. 最小発育阻止濃度 (MIC) は, MINOおよび第3世代セフェム系抗生剤 (CPZ, CTX, CZX, LMOX) に最もすぐれた感受性が認められた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 58 (3), 239-245, 1984

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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