由来別緑膿菌のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌発育抑制作用と色素産生性に及ぼすエリスロマイシンの影響

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タイトル別名
  • Effect of Erythromycin on Anti Staphylococcal Activity and Dye Production of <I>Pseudomonas aeruginosa</I> Isolated from Clinical Materials
  • ユライベツ リョクノウキン ノ メチシリン タイセイ オウショクブドウキュウキ
  • Effect of Erythromycin on Anti Staphylococcal Activity and Dye Production of Pseudomonas aeruginosa Isolated from Clinical Materials

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抄録

緑膿菌の示すメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 発育抑制作用について, 寒天平板反転法及び滅菌濾紙スタンプ法を用いて検討を行った. さらに緑膿菌の由来別色素産生性, 薬剤感受性との関連, またエリスロマイシンによる影響についても検討を行った.緑膿菌株は膿汁由来20株, 喀痰由来34株, 尿由来20株の計74株で, MRSAを指示菌として用いた. その結果72時間後の判定でMRSAに対して抑制作用を示したのは, 膿汁由来16株 (80%), 喀痰由来19株 (55.9%), 尿由来8株 (40%) であった. 緑膿菌の色素産生性と黄色ブドウ球菌発育抑制作用との検討では, 色素産生性を全く示さない株では発育抑制作用が極めて乏しかった. 薬剤感受性成績からはPIPC, AMK, IPM, CFS, OFLXの5種類の薬剤のうち, OFLXに対して耐性を示す株に発育抑制作用を示さない株が多く認められた. エリスロマイシンは緑膿菌の色素産生を抑制したが, 黄色ブドウ球菌発育抑制作用には影響を及ぼさなかった. このことはエリスロマイシンの新たな薬理作用と治療上の有用性を示唆するものである. また黄色ブドウ球菌発育抑制作用は色素単独によるものではないことが推測されたことから, 今後抑制作用の発現物質の解明と共に, エリスロマイシン投与期間中における黄色ブドウ球菌及び緑膿菌の検出の推移に注目すべきであると考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 67 (1), 18-23, 1993

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (3)*注記

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