Apatite焼結体埋入による顎骨組織の経時的推移変化

  • 小木曾 誠
    東京医科歯科大学歯学部第2歯科補綴学教室 東京医科歯科大学歯学部解剖学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Histological Changes in the Mandibular Tissue by Implantation of Apatite Ceramics
  • Apatite ショウケツタイ マイニュウ ニヨル ガッコツ ソシキ ノ ケイ

この論文をさがす

抄録

apatite焼結体によるデンタル・インプラントの開発を目的として, 相対密度56%, 68%, 79%, 95%4種のapatite焼結体を抜歯後3カ月経過した成犬下顎骨に埋入し, 術後5日から410日に至る標本について, apatite焼結体と顎骨組織との関係について組織学的構造に関する経時的推移変化の観察を行った。<BR>術後5日ですでに骨梁など元来の顎骨組織や遊離骨片を中心として幼若な新生骨梁の形成が進行し, とくに海綿質領域ではその一部が焼結体表面に接している。術後10日になると元来の顎骨組織と焼結体との間隙はほぼ新生骨梁で満たされる。しかし両者の間隙における組織分化と骨組織の形成は焼結体の密度が高いものほど進行が早く, 焼結体表面においても密度の高いものではほぼ全域にわたってすでに骨組織が形成され, 焼結体表面に援着している。術後15日以後になると, 焼結体と元来の顎骨組織との間隙に形成される骨梁などの骨組織は緻密質領域と海綿質領域に埋入された部位によって, 幼若な骨梁からそれぞれ緻密質, 海綿質の構造に推移し始める。緻密質領域に埋入された部分では, 95%, 79%焼結体の場合術後30日, 68%の場合術後60日の標本で緻密質の構造を備えた骨組織によって両者の間隙が満たされ, 56%の場合術後60日に至っても緻密質の構造への移行状態にとどまっている。一方, 海綿質領域においても, とくに高密度のものでは焼結体表面が骨組織に被われたまま.術後15日のものから順次骨梁間の骨髄腔が拡大されるとともに骨髄組織が分化をおこす。それにともない以後60日に至るまで骨髄の一部にわずかに造血が営まれている状態が認められる。術後60日になると骨梁と骨髄腔の状態は通常の海綿質の状態に復し骨髄において脂肪細胞が出現し始め, 術後120日になると完全な黄色骨髄となる。しかしこれらの状態においても高密度焼結体の方が早く進行しているのが認められる。

収録刊行物

被引用文献 (20)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ