口腔白板症の臨床的病理組織学的研究

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical and Histopathologic Study of Oral Leukoplakia
  • コウコウ ハクバンショウ ノ リンショウテキ ビョウリ ソシキガクテキ ケンキ
  • —Relationship between Clinical Type and Histopathologic Structure—
  • ―特に臨床型と病理組織学的所見との関連について―

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抄録

口腔白板症の臨床像と病理組織学的所見との関連を明らかにするため, 過去13年間に東京医科歯科大学歯学部第1口腔外科において白板症と診断され, 臨床像と病理組織学的所見とを対比検討のできた117症例, 135病変 (例) について検討を加え, 以下の結果を得た。<BR>対象患者の性別は, 男性75症例, 女性42症例, 年齢は25歳より82歳まで, 年齢別には60歳代, 50歳代, 40歳代の順に多かった。部位別頻度は歯肉48例, 頬粘膜36例, 舌36例, 硬口蓋9例, 口底5例, 口唇1例で, 発症様式は単発性64症例, 多中心性20症例, 多発性33症例 (51例) であった。臨床型別には, 白斑型98例, 紅斑混在型13例, 丘型14例, 疣型10例であった。<BR>臨床型と病理組織学的所見との関連については, 角質層は白斑型では過正角化症が, 他の3型では過錯角化症がそれぞれ多く, 顆粒層は過正角化症に伴って出現していた。棘細胞症は白斑型と紅斑混在型では比較的軽度なものが多く, 疣型と丘型では高度なものが多かった。上皮異形成は紅斑混在型において頻度も程度も最も高度で, ついで疣型, 丘型の順であり, 白斑型ではほとんどみられなかった。上皮下結合織内の円形細胞浸潤は紅斑混在型が最も高度で, ついで疣型, 丘型, 白斑型の順であった。<BR>臨床所見と病理組織学的所見との関連のうち, 部位と角化については, 歯肉と硬口蓋では過正角化症が, 頬粘膜と舌では過錯角化症がそれぞれ多かった。上皮異形成の頻度は性別では男性よりも女性に, 年齢では60歳代に, 部位では舌, ついで頬粘膜に, 発症様式では多中心性, 多発性の順にそれぞれ多かった。<BR>組織所見相互の関連については, 過錯角化症, および過錯角化症と過正角化症の混在したものでは上皮異形成, 棘細胞症および上皮下結合織内の円形細胞浸潤の頻度がそれぞれ高く, 過正角化症では低かった。上皮異形成を示す白板症ではほぼ全例に上皮下結合織内の細胞浸潤を認め, 程度も高度なものが多かったが, 示さないものでは頻度は低く, 軽度なものが多かった。

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