保存蚕品種における量的諸形質の品種特性 (2) : 繭層の練減率とラウジネスの品種特性ならびにそれらの形質と繭重・繭層重との相互関係

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  • ホゾン カイコ ヒンシュ ニ オケル リョウテキ ショ ケイシツ ノ ヒンシュ

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抄録

蚕糸試験場で系統保存されている274種の地理的蚕品種について,繭層の練減率とラウジネスを調査して品種特性の解明をはかるとともに両形質間ならびに両形質と繭重,繭層重,繭層歩合との関係を検討し,次の結果を得た。1.繭層練減率およびラウジネスはともに品種によって著しく相違し,練減率は19.5~32.2%,ラウジネスは0~4.70点まで広範囲に分布した。2.地理的品種間差異をみたところ,練減率では日本種が最も低く,熱帯種と眠性種がこれにつぎ,奥州種は最も高かった。また,ラウジネスでは熱帯種と欧州種が少なく,眠性種と日本種は多かった。中国種は飼育時期が異なるため断定はできないが,練減率,ラウジネスともに日本種とはほとんど違わないものと推察した。3.練減率およびラウジネスは雌雄によって相違し,前者では欧州種を除き雌の方が高く,後者では熱帯種以外は雄の方が高い傾向が認められた。4.本試験の結果に基づき練減率およびラウジネスにそれぞれ特徴を有する蚕品種を分別した(第5表,第6表)。5.練減率とラウジネスの相関関係を調べた結果,日本種と中国種において有意な正の相関が認められたが,中国種の場合は相関係数が低かった。6.練減率は日本種と中国種において繭層重および繭層歩合との間で値は低いものの有意な正の相関を示し,繭層重の重い品種ほど練減率が高い傾向にあることが判明した。7.ラウジネスは日本種,中国種,欧州種,眠性種において繭層重および繭層歩合との間で比較的高い正の相関関係があり,繭重との間でも有意な相関を示した。したがって,繭重,繭層重の重い品種ほどラウジネスが多いものと判断した。8.清水・伊藤(1965)の報告と本試験結果とを対比して解析した結果,蚕品種が系統保存されている間に練減率はほとんど変化しないが,ラウジネスは品種によって多少変化することがあるものと推察した。

収録刊行物

  • 蠶絲試驗場彙報

    蠶絲試驗場彙報 (120), 99-112, 1984-04

    つくば : 農林水産省蚕糸試験場

被引用文献 (5)*注記

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