人工飼料による原蚕の飼育標準技術

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  • ジンコウ シリョウ ニ ヨル ゲンサン ノ シイク ヒョウジュン ギジュツ

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抄録

1)摂食性が良好であったM-D飼料及び交雑原種日5・1と中6・1を中心に本試験結果を概括すると,飼育成績,産卵性ともにおおむね良好な成績を示し,したがって本試験で設定した飼育条件は,原蚕人工飼料育の一つの標準技術とみなすことができる。2)本試験を通じて提起された問題点を概括すると次のようである。(1)蚕品種では「C45・C55」が特徴的で,他の品種に比べ繭層重や蛹体重に対しては飼料差は比較的小さく現れた反面,3眠蚕や不脱皮蚕の出現並びに1g卵数において飼料差が顕在化した。また,不越年卵蛾が全く出現せず,飼育経過は最も短かった。(2)Y-C飼料はM-D飼料に比べ,飼育経過が短く,繭重,繭層重,蛹体重が重く,1蛾平均卵数も多かった。しかし不脱皮蚕や不受精卵蛾歩合が高く健康面でやや安定性を欠いた。(3)化蛹した蚕は,蚕品種や幼虫期の給与飼料組成に関係なく比較的安定して化がした。(4)不越年卵蛾歩合は遺伝性の強い形質であるのに比し,玉繭蚕歩合,不産卵蛾歩合,累積卵蛾歩合は蔟中管理を含めた飼育取扱いによって変動する形質であると推定された。(5)産卵性に関する諸形質では不受精卵蛾歩合が外部要因によって最も変動しやすい形質であり,飼料組成改善,蚕品種改良の指標になる可能性が示唆された。3)本プロジェクト研究における共通設計試験4課題の結果を中心に,さらにこれまでに積み重ねられてきた技術を参考にして,交雑原種を対象に飼育標準技術を策定した。

収録刊行物

  • 蠶絲試驗場彙報

    蠶絲試驗場彙報 (132), 199-220, 1988-02

    つくば : 農林水産省蚕糸試験場

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