<論説>中世後期島津氏の権力構造

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タイトル別名
  • <Articles>The Power Structure of the 島津 Shimazu Clan as a Daimyo 大名 in the Age of Civil Wars
  • 中世後期島津氏の権力構造
  • チュウセイ コウキ シマズ シ ノ ケンリョク コウゾウ

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抄録

本稿の目的は中世後期における島津氏の権力構造を、主として、家臣団構造と知行制の側面から考察することにある。島津氏の権力構造の変化は四つの段階に分けうる。第一は南北朝初期より応永年間の、守護大名化の始動期ともいうべき段階で、中小在地領主の被官化、独習の知行制の樹立が進められる。第二は応永末期より文明年間までの、守護領国体制の確立・展開期であり、「衆」として地域的に掌握され直参する直臣団の存在が知られ、知行制は検地等によって一層整備される。第三は文明より天文年間に至る戦国大名への移行期で、有力農民の被官化が進められるとともに在地との切断が行なわれ、地頭─衆中制が形成される。第四はそれ以降で、地頭─衆中制を核とした家臣団組織は完成し、統一的軍役の規定をみ、戦国大名化は完了する。だが、それは領主、農民間の矛盾が頂点に達したことを意味し、農民の逃散は盛んに行なわれ、この矛盾の激発をおさえるため、軍事力増強がたえず要請され、領土拡張戦が行なわれる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 51 (3), 303-331, 1968-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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