<論説>「神の平和」運動と十二世紀カペー王権

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タイトル別名
  • <Article>Le mouvement de la paix et la monarchie capetienne du XIIe siecle
  • 「神の平和」運動と十二世紀カペー王権
  • カミ ノ ヘイワ ウンドウ ト 12セイキ カペー オウケン

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抄録

十世紀末から十二世紀にかけて西欧に展開したいわゆる「神の平和」運動については、教会史、法制史、社会経済史等の諸側面からさまざまの研究がなされてきた。特に多くの研究が、この運動が王侯による権力集中になした寄与を指摘している。本稿は十二世紀におけるフランス・カペー王権の発展とこの運動との関係を検討する。従来の研究はかかる主題を扱う場合、ラントフリーデ立法によるこの運動の継受という法制史的視角に偏しがちであったが、そうした視角は十二世紀カぺー王権を問題とする場合は不適当である。本稿では王権による、カペー家領邦の平定から王国全体への封建的宗主権の主張という歩みの中で、この運動と王権との関係を検討する。そこから次のような結論が得られる。「神の平和」運動の王権による継受は「平和のために戦う王」という王政イデオロギーを強化し、それが国王によるカペー家領邦平定活動と封建的宗主権の主張を支え、ひいては封建王政の確立に寄与した。

収録刊行物

  • 史林

    史林 62 (1), 47-71, 1979-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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