昆虫幼若ホルモン骨格の酵素的合成

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タイトル別名
  • Enzymatic Synthesis of Insect Juvenile Hormone Skeleton
  • コンチュウ ヨウジャク ホルモン コッカク ノ コウソテキ ゴウセイ
  • こん虫幼若ホルモン骨格の酵素的合成

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抄録

酵素の基質特異性と立体特異的反芯性を利用して,昆虫の幼若ホルモン0および1(JHO,JHI)の炭素骨格をもつ化合物,(2E,6E,10Z)-3,7-ジェチル-11-メチル-2,6,10-トリデカトリエン-1-オール[9-OH]および(2E,6E,10Z)-3,11-ジメチル-7-エチル-2,6,10-トリデカトリエン-1-オール[10-OH]をブタ肝臓のファルネシルピロリン酸シンテターゼを用いて,(Z)-3-メチル-2-ペンテニルピロリン酸[1],3-エチル-3-ブテニルピロリン酸[4]およびイソペンテニルピロリン酸(IPP)の基質から酵素的に合成できることが示された。幼若ホルモンII(JHII)の炭素骨格をもつ(2E,6E,10Z)-3,7,11-トリメチル-2,6,10-トリデカトリエニルピロリン酸[3]も[1]とIPPを基質として,また幼若ホルモンII(JHII)の炭素骨格をもつファルネシルピロリン酸(FPP)も3-メチル-2-ブテニルピロリン酸(DMAPP)とIPPからこの酵素反応により,効率よく合成される。また昆虫においては不明であったファルネシルピロリン酸シンテターゼの存在がカイコの幼虫の無細胞抽出液を用いた実験ではじめて明らかにされた。以上のことから昆虫の幼若ホルモンの生合成において,ファルネシルピロリン酸シンテターゼがこのホルモンの炭素骨格の形成に直接関与していることが示唆される。

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