乳牛の第二胃内の金属異物による創傷性疾患の発生と予防法
書誌事項
- タイトル別名
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- Development and Prevention of Traumatic Diseases due to a Metallic Foreign Body in the Reticulum of Dairy Cows
- 乳牛の第2胃内の金属異物による創傷性疾患の発生と予防法
- ニュウギュウ ノ ダイ2 イナイ ノ キンゾク イブツ ニ ヨル ソウショウセ
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抄録
これまで減少傾向にあった第二胃原発性の創傷性疾患が, 予防処置をとっているにもかかわらず昭和62年に再び増加した. その原因を追求し予防法を再考するため, 昭和61年1月から62年12月までの期間にカウサッカー処置を行った疾病乳用牛193頭 (昭和61年), および194頭 (昭和62年) の金属異物について調査した. また, 臨床所見上健康な乳用牛62頭の金属異物の有無を調査し検討した. その結果, 疾病牛で金属異物が摘出された牛は2年間とも約80%前後, 健康牛でも82.3%で差がなく高率だった. しかし, 昭和62年に摘出された金属異物は61年のものに比べ有意 (P<0.01) に長さ本数ともに増加していた. このため, 輸入ヘイキューブ以外の飼料からの混入を疑い, 梱包輸入乾草の中から胃内の金属異物と同径の長く直線的な針金を発見した. また, 昭和62年の死廃牛でバーネット8 (以下, P8) が投与されていた8症例を検討したところ, 6症例はP8の長さ8cmより短い針金だったが, 多量の金属異物がP8に吸着していた. そこで, P8の調査・試験を行った. 金属異物の摘出本数は, P8の投与されていた牛はいなかった牛に対し有意 (P<0.01) に多く, 効果は認められた. しかし, 磁力試験では条件 (針金の多量の吸着, P8が2本吸着) により極端な磁力の低下が認められ, 異物の固定が不安定であると推察された.以上のことから, 第二胃原発性創傷性疾患増加の原因は乾草中の針金に起因し, 今後, 危険牛群の早期発見および胃内の金属異物の除去の必要性が示唆された。
収録刊行物
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- 日本獣医師会雑誌
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日本獣医師会雑誌 43 (3), 175-180, 1990
公益社団法人 日本獣医師会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679684300032
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- NII論文ID
- 130003847859
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- NII書誌ID
- AN00191857
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- ISSN
- 21860211
- 04466454
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- NDL書誌ID
- 3671066
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可