残胃肉腫の臨床的検討

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タイトル別名
  • CLINICAL STUDY OF SARCOMAS OF THE REMNANT STAMACH
  • ザンイ ニクシュ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

残胃肉腫はごく稀な疾患であり, 60歳,男性で胃潰瘍による広範囲胃切除後23年目の残胃に発生した悪性リンパ腫および51歳,女性で胃潰瘍で広範囲胃切除後6年目の残胃に発生した悪性リンパ腫の自験2症例を含む本邦報告16例について詳細に臨床像を検討した.病理組織学的分類は悪性リンパ腫が12例と高頻度で,平滑筋肉腫3例,悪性神経鞘腫1例であった.男女比は4:1と男性に多く,平均年齢は55.9歳であった.一方,原疾患として胃潰瘍症例を多く認め,これら症例のすべてに幽門側胃切除が施行され,再建方法はBillroth I法がややBillroth II法より多くみられた.初回手術後の経過年数は10ヵ月から23年におよんでおり,平均8.8年であった.臨床症状上,残胃肉腫に特異的なものはなく,上腹部痛(64.2%),体重減少(50.0%)が多くみられた.術前に診断可能であったものは悪性リンパ腫の4例のみで正診率は28.6%であった.悪性リンパ腫の占居部位は吻合部,断端部に63.6%と過半数に認められた.開腹術は14例がうけており残胃全摘術12例,胃空腸吻合術1例,単開腹術1例であり,その予後は残胃全摘術をうけた12例中11例が生存している.自験例の3年6ヵ月を含め残胃の肉腫とはいえ根治的切除がなされれば十分な延命が期待できるもので,残胃癌も含め胃切除後のfollow upの重要性を示唆した.

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