<研究ノート>「言いわけ」の比較文化論(一) : 序説(1)

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タイトル別名
  • A Study of "Iiwake (Excuse)" in Social Interaction : Introduction
  • 「言いわけ」の比較文化論-1-序説-1-
  • イイワケ ノ ヒカク ブンカロン 1 ジョセツ 1

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抄録

本稿の目的は、日本人が社会生活のさまざまなレベルで、意識的・無意識的にどのような「言いわけ」(行為の正当性に関する言明)を使っているかについて比較文化の視点から研究を行うことにある。あらゆる文化の根底をなす「すべし・すべからず」の原理は、その成員にとってあまりにも自明のことであり、普段は意識に上らないほどに当然の事柄であるために、直接的な方法では調査の対象となりにくい。  「言いわけ」とは一般的に、人が自らの行動を、世間に承認してもらえるような形で事前的あるいは事後的に釈明するものである。すなわち特定の行動を選択した(しようとする)動機が本人にも状況関与者にも自明ではないときに生じる現象である。しかし一方、予め社会的にストックされている「言いわけ」が動機源となって行動が誘発されることもある。  分析の対象は「言いわけ」が比較的強い形で表に現れてくる社会状況、すなわち文化摩擦の諸相である。ミクロとマクロとを問わず、文化摩擦という「自明性」の破綻現象において発動される「言いわけ」行動に注目し、(1)「言いわけ」の分類を試み、(2)いわば逆照射の手法を用いることによって、暗黙のうちに了解されている社会行動のルールを明らかにし、(3)社会的行為における動機付けや社会化に関する諸理論を根本的に再検討する。

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