ネットワーク・コミュニケーションにおける対人関係の特徴

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タイトル別名
  • The characteristics of interpersonal relationships in network communication
  • ネットワーク コミュニケーション ニオケル タイジン カンケイ ノ トクチョウ

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抄録

近年のネットワーク・コミュニケーションの進展はめざましいものであるが、そのコミュニケーション性については、十分には検討されていない。同時に文字(絵文字を含む)によるメッセージ交換の便利さもありながら、コミュニケーションの対象者とは対面しないことによるネットワーク・コミュニケーションの持つ場面の特異性、限界、形成される対人関係の特徴などが検討課題となる。ネットワーク・コミュニケーションの基本特徴は、文字を主体とする間接的メディアであること、応答チャネルがないので、対人関係の親密さを補強する働きが乏しく、柔軟な関係を築きにくい。選択した他者との応答に基づいて関係は築かれるが、他の直接向き合うような事態で見られる関係の拡大や進展は少ない。関係の親密さは、発言持続有無、発話内容に基づく態度の「推測」に基づく。対面場面で生じるような自己意識や緊張が高まらずに自分を表現できるとの肯定的評価もあり、対人関係を段階的に修復できる効用を持っていることなど、対面的な場面での対人関係の展開の様相とは異なるところが大きい。また、ネットワーク・コミュニケーションは、新たな機能やコミュニケーション文化を招来する可能性も大きい。コミュニケーションの基本的機能は、関係の構築にあるが、間接的な、限定的なコミュニケーションによって形成される関係は限定的なものとなる可能性が高い。新たな表現スタイル、他のメディアとの連携によって、密度の高い関係を築いていけるような工夫が必要である。

収録刊行物

  • 対人社会心理学研究

    対人社会心理学研究 2 1-14, 2002

    大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室

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