ミヤコザサの維持と樹木実生の更新にエゾシカの採食が与える影響

書誌事項

タイトル別名
  • Browsing effects of deer (Cervus nippon yesoensis Heude) on the growth of dwarf bamboo (Sasa nipponica Makino et Shibata) and the regeneration of tree seedlings
  • ミヤコザサ ノ イジ ト ジュモク ミショウ ノ コウシン ニ エゾシカ ノ サイショク ガ アタエル エイキョウ

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抄録

エゾシカによる森林衰退が報告されている北海道、白糠において、エゾシカがミヤコザサの形態、現存量に与える影響を調査した。またシードバンク、実生の調査を行うことにより、白糠の森林におけるエゾシカ、ミヤコザサ、樹木実生の関係を解明しようとした。エゾシカの採食を受けることによりミヤコザサの地上部は矮小化し、現存量も減少していた。一方、地下部現存量は軽度に採食を受けている区で多くなっており、地下茎は長くなっていた。しかし過度の採食を受けた場合には地下部現存量も極度に減少し、ミヤコザサの削減が危惧された。ミヤコザサは採食耐性が高いと言われるものの、その耐性には限界があることが示唆された。過度の採食を受けていたミヤコザサでもエゾシカを排除することにより回復がみられ、その過程ではまず地上部に投資していた。また他植物種の実生調査では、ミヤコザサが軽度に採食を受けている区で実生数が多く、実生の生存のためには適度な現存量のササは好影響を与えると考えられた。調査地では種子供給とシードバンクの発達が期待できるため、エゾシカの密度管理によってミヤコザサを適量に維持し、実生更新を促進できる可能性が示唆された。

収録刊行物

  • 森林研究

    森林研究 (74), 77-86, 2002-12

    京都大学大学院農学研究科附属演習林

被引用文献 (4)*注記

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