<論説>高麗時代における土地所有の諸相

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タイトル別名
  • <Articles>Aspects of the Landholding System during the Goryeo Dynasty
  • 高麗時代における土地所有の諸相
  • コウライ ジダイ ニ オケル トチ ショユウ ノ ショソウ

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抄録

高麗時代、官人・軍人には大小の領地(収租地) が分給されていたが、これらは官人戸・軍人戸の経営する自家の所耕田の上に設定される部分と、他の一般民戸の経営する所耕田の上に設定される部分との複合によって成立していた。所耕田は原則として国家から分給される建前になっていたが、実際には父子・親族間における世襲が容認され、事実上の所有権が確立している。したがって、官人戸・軍人戸の所耕田の上に設定される収租地についても、当該官人戸・軍人戸による世襲が事実上容認されていたのである。 収租権の「傘」のもとに所耕田を世襲した官人戸・軍人戸は、他の一般民戸より遥かに有利な条件で経営の安定と富の蓄積を果たすことができた。権勢家は土田の開墾と奪占を通して所耕田を集積し、そこに貧民や流亡民を隠匿して、いわゆる農荘を形成する。農荘の発展は土地国有の理念に背くものであったが、高麗末の科田法改革によってもこの現実を否定することはできなかった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 87 (6), 749-780, 2004-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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