公共性を問い直させる公民授業の構想 -中学校社会科小単元「公共の福祉とは何か」の開発-

書誌事項

タイトル別名
  • The Development of the Social Studies Lesson Plan Focusing on Understanding Public Welfare: A Case of a Tentative Lesson Plan "What is Public Welfare?"
  • コウキョウセイ オ トイナオサセル コウミン ジュギョウ ノ コウソウ チュウガッコウ シャカイカ ショウタンゲン コウキョウ ノ フクシ トワ ナニ カ ノ カイハツ

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抄録

本研究は、生徒に公共性を個人の判断や意思決定を上から制限するものと捉えさせるのではなく、国民自身が作り出し下から権力に対して突きつける社会の原則として捉えなおさせる社会科公民の授業開発を目指したものである。公共性を問い直すにあたっては、日本国憲法に規定されている公共の福祉を取り上げ、公共の福祉の解釈の検討をさせ、それを基本的人権を行使するうえでの心得ではなく、基本的人権を制限するための普遍的原則と捉えなおさせる展開を構想した。公共性を考えるための具体的な社会的事情としては、ハンセン病問題を取り上げた。ハンセン病問題は、日本社会に長く根付いていた差別意識の問題と考えられているが、戦後に関していえば、その差別を維持・助長し続けたのは、公共の福祉を理由に隔離政策を推進したらしい予防法の存在である。開発した小単元は、らい予防法は廃止された理由を考えさせることによって、生徒に公共の福祉について再考させるものとなっている。

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