ゴマ種子中のセサミン・セサモリン含有量の変動要因解析と高含有品種の育成および脂質代謝における機能性評価

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タイトル別名
  • ゴマ シュシチュウ ノ セサミン セサモリン ガンユウリョウ ノ ヘンドウ ヨウイン カイセキ ト コウガンユウ ヒンシュ ノ イクセイ オヨビ シシツ タイシャ ニ オケル キノウセイ ヒョウカ

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抄録

セサミンおよびセサモリンはゴマ種子中に含まれる脂溶性リグナン類の一種であり、生体内で様々な機能性を持つ微量成分であることが報告されている。そこで、機能性成分セサミンおよびセサモリン含有量の向上を目的として育種を進めるため、これらの成分の分析法を検討し、分析時間の短縮、抽出法の改良、試料調製法の改良を行い、選抜操作に適用可能な高速液体クロマトグラフィーを用いた迅速分析法を開発した。また、ゴマ種子中における両成分含有量の登熟に伴う変動特性を解析し、播種時期が異なっていても登熟期間が揃った開花後30日目頃のさく果の種子でセサミンおよびセサモリンの含有量の系統間における差異は最大となることから、その種子を用いて含有量を評価できることを明らかにした。さらにセサミンとセサモリンの含有量の遺伝様式をこれらの含有量に特徴のある系統間の雑種後代を用いて解析し、F2世代での成分含有量に対する選抜が有効であることを明らかにした。これらの結果をもとにセサミンおよびセサモリン含有量が多い南中国原産の系統「H65」と収量性に優れたペルー原産の大粒系統「TOYAMA016」を交雑し、系統育種法により新品種「ごまぞう」を育成した。「ごまぞう」はセサミンおよびセサモリン含有量が関東地方で栽培されている金ごま在来品種の「真瀬金」に比べて栽培年次、栽培地、収穫時期に因らず安定して高く、収量性にも優れていた。また、生体内での脂肪酸代謝酵素活性の向上効果が在来品種「真瀬金」に優ることを動物実験により実証した。ゴマの高リグナン含有新品種は、健康機能性をアピールできる地域特産品などの素材として新たな需要の創出に繋がると考える。

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