看護師配置は患者アウトカムにどう影響するのか―電子カルテ記録を用いた資源配置とアウトカムとの関係に関する基礎的検討―

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タイトル別名
  • Effects of Nurse Staffing on Patient Outcome
  • カンゴシ ハイチ ワ カンジャ アウトカム ニ ドウ エイキョウスルノカ デンシ カルテ キロク オ モチイタ シゲン ハイチ ト アウトカム トノ カンケイ ニ カンスル キソテキ ケントウ
  • 電子カルテ記録を用いた資源配置とアウトカムとの関係に関する基礎的検討

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抄録

病院における医療従事者の適切な配置が,患者の医療成果にどう貢献しているかについて,近年欧米では研究が進められている。本研究では,日本における医療のアウトカムに対する看護配置の効果を評価するひとつの試みとして,単一施設の経時的な看護配置情報と,看護の直接的関与が高い患者のADLや問題行動の抑制,家族の理解や協力の促進といった患者QOLにかかわるアウトカム情報を,電子カルテシステムを利用して抽出し,記述的および統計的な分析をおこなった。<br> 得られた結果は,先行研究の多くが示唆するように,十分な看護配置は患者アウトカムに望ましい効果を及ぼす可能性があることが確認されたが,同時に看護配置の効果はすべての疾患について同じわけではなく,急性疾患と慢性疾患,手術のあるなしなど疾患の特性によって看護配置の効果は異なることがわかった。また,電子カルテの情報を活用することで,患者の自己申告によるQOL評価が困難な場合でも,ある程度患者アウトカムに関する評価が可能であることが示唆された。<br> 本研究では,単一施設での評価と施設横断的な評価との比較や,医師など他の人的資源配置の状況や効果を考慮した分析との比較対照をおこなっていないため,看護配置の如何が患者アウトカムに及ぼす“ネットの”効果を完全には測定していない。今後は,本研究結果の一般性や妥当性を,上記のような他の方法やデータを利用した評価結果との比較を通じて検証する必要がある。

収録刊行物

  • 医療と社会

    医療と社会 18 (3), 343-360, 2008

    公益財団法人 医療科学研究所

参考文献 (17)*注記

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