カンキツ新品種「大分果研4号」の特性

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  • カンキツ シン ヒンシュ オオイタカケン 4ゴウ ノ トクセイ

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抄録

1.「大分果研4号」は、1995年に大分県柑橘試験場津久見分場(現大分県農林水産研究センター果樹研究所津久見試験地)において高糖系温州「大津八号」にタンゴール「天草」の花粉を交配して育成した早生カンキツで、2007年3月に種苗法に基づき品種登録を申請し、2009年3月6日に品種登録された。2.樹勢は中程度で、樹姿は開張性である。枝梢の太さは細く、長さは短く、密度はやや密である。結実し始めると樹勢が落ち着き、枝に発生していた短いトゲはほぼ消失する。3.単生花序を形成し、花弁は5枚で白色の紡錘形。花糸の分離程度は一部合一で、花糸の数は少なく、花粉が少しある。4.果実の形は扁球形で、果形指数は115。果頂部の形は陥没しており、凹環は不明瞭。果梗部は球面で、放射条溝は無である。果実の重さは170g程度で、果皮の色は濃橙。油胞の大きさは中で、果面の粗滑は滑〜中、果皮の厚さは中で、はく皮は易である。じょうのう膜は軟らかく、さじょうの形・大きさはともに中である。5.果汁は多く、12月中旬の果実品質は、果汁歩合85%、糖度(Brix)12.0、クエン酸0.82%と、酸切れの早い品種である。香気は中程度のオレンジ香がある。種子は中程度入るが、他家受粉がなければ少となる。6.収穫適期は、果皮が完全着色となり、クエン酸が0.8%程度となる11月下旬頃から12月中旬までである。7.着花は良好で、隔年結果性は低い。また、果皮が弱く、果肉が軟らかいので、収穫時期の果実の取り扱いには注意が必要である。8.温州ミカンの栽培可能な地域であれば栽培は可能であるが、減酸が早く年内出荷が可能な早生カンキツとしての特性を十分に発揮させるためには、比較的土壌が浅く、排水、日照が良好な緩傾斜地での栽培が望ましい。

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