内田百間「サラサーテの盤」における第三の「女」 : 夢後の共同性へ

• 坂口 周

  津田塾大学

書誌事項

タイトル別名

• The Third Woman in Hyakken Uchida's "Sarasate-no-ban" : Beyond Vague Borders between Reality and Dream
• ウチダ ヒャクケン サラサーテ ノ バン ニ オケル ダイサン ノ オンナ ユメ ゴ ノ キョウドウセイ エ

抄録

内田百間「サラサーテの盤」(一九四八)は、一見して日常的な世界によって構成されている。初期の小説群のように「夢」の非現実則に支配された荒唐無稽な印象をもたらさない。しかし同時に、死者と生者の境界線が絶えず引き直されるような危うさによって、その空間の遠近法は成立ぎりぎりの臨界にさらされている。本稿は、このテクストの構造を形成する核であり、かつそのような構造の不安定さを強いる<謎>としての「女」の位置を探るものである。特に、おふさ、きみ子につづいて、不思議な存在の異常性を放っている「奥様」という第三の「女」の意味を明らかにする。

収録刊行物

• 日本文学

  日本文学 59 (12), 32-43, 2010

  日本文学協会

詳細情報

• CRID: 1390001205781185664
• NII論文ID: 110010028136
• NII書誌ID: AN00197092
• DOI: 10.20620/nihonbungaku.59.12_32
• ISSN: 24241202
• ISSN: 03869903
• NDL書誌ID: 10908023
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I10908023
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可