関東平野周辺の窒素飽和状態の針葉樹人工林における地上部生産と窒素利用様式

• 稲垣, 善之

• 稲垣, 昌宏

• 橋本, 徹

• 小林, 政広

• 伊藤, 優子

• 篠宮, 佳樹

• 藤井, 一至

• 金子, 真司

• 吉永, 秀一郎

書誌事項

タイトル別名

• Aboveground production and nitrogen utilization in nitrogen-saturated coniferous plantation forests on the periphery of the Kanto Plain

抄録

筑波共同試験地は、関東周辺の山間部に位置しており、森林に負荷される窒素量が多く、渓流水からの窒素流亡も大きい窒素飽和状態の森林流域である。この林分のスギ林とヒノキ林において、土壌の性質と地上部生産、器官への乾物生産の分配、窒素の分配を調査した。有機物層の現存量は小さく、有機物は速やかに分解され、窒素を放出した。リターフォールによる窒素供給量は、土壌の窒素無機化速度とほぼ同じであった。ヒノキ林、スギ林では地上部一次生産は高く維持されているものの、スギ林では雄花の分配率が大きく、地上部の窒素利用効率が低下した。スギ林では、樹高の高い個体で樹冠長が小さく葉量が少ない傾向が認められた。樹高の高い個体は低い個体よりも幹成長が小さい傾向が認められた。これらの結果は、スギ林の樹高の高い個体で衰退の兆候が認められることを示す。これまで山間部のスギ林は、関東平野部に比べて衰退の程度が小さいと考えられてきたが、本研究の結果より、衰退の兆候を示す林分が存在することが明らかになった。今後窒素負荷の影響を考慮しながら都市近郊のスギ林の健全性を評価することが重要である。

収録刊行物

• 森林総合研究所研究報告

  森林総合研究所研究報告 11 (3), 161-173, 2012-09

  つくば : 森林総合研究所

キーワード

• Japanese cedar
• hinoki cypress
• nitrogen saturation
• aboveground production
• nitrogen utilization
• スギ
• ヒノキ
• 窒素飽和
• 地上部生産
• 分配

詳細情報

• CRID: 1050845763671286784
• NII論文ID: 40019487687
• NII書誌ID: AN10164318
• ISSN: 09164405
• NDL書誌ID: 024089032
• Web Site: https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030834226
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I024089032
• 本文言語コード: en
• 資料種別: journal article
• データソース種別:
  • IRDB
  • NDL
  • CiNii Articles