直腸粘膜生検によるHirschsprung 病病理診断におけるcalretinin 免疫染色の有用性の検討

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タイトル別名
  • Calretinin Immunohistochemistry in the Diagnosis of Rectal Suction Biopsies for Hirschsprung Disease
  • チョクチョウ ネンマクセイケン ニ ヨル Hirschsprungビョウ ビョウリ シンダン ニ オケル calretinin メンエキ センショク ノ ユウヨウセイ ノ ケントウ

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抄録

【目的】直腸粘膜生検によるHirschsprung 病(以下H 病)の病理診断において,アセチルコリンエステラーゼ染色(acetylcholinesterase histochemistry;以下AChE 染色)は最も正診率が高いとされる.一方で近年,正常結腸の粘膜下・筋層の神経節細胞や内因性神経線維に陽性を示すcalretinin 免疫染色(calretinin immunohistochemistry;以下CR 染色)の同診断における有用性が指摘されてきている.今回,両染色の比較を中心に同診断におけるCR 染色の有用性を検討した.<br>【方法】2011 年4 月から2012 年3 月までの間に当科でH 病を疑い直腸粘膜生検を施行し,その標本に対してAChE 染色とCR 染色を併施した症例を対象に,その所見を後方視的に検討した.<br>【結果】対象は手術となった新生児4 症例,再手術となった3 歳児例,さらに手術とはならなかった乳児3 症例の合計8 症例であった.後に手術にてH 病との確定診断を得た5 症例ではいずれもAChE 染色陽性,CR 染色陰性であった.但しそのうちの2 症例は1 回目の生検ではAChE 染色およびCR 染色がともに陰性であったために確定診断に至らず,再度生検を施行してAChE 染色陽性の結果を得た.手術とならなかった3 症例はいずれも1 回目の生検にてAChE 染色陰性,CR 染色陽性の結果を得た.<br>【結論】H 病直腸粘膜生検の病理診断においてCR 染色はAChE 染色評価困難例における補助診断として特に有用であり,CR 染色を追加することで不要な再生検を防げた可能性がある.

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