ライティングにみられる定型的言語表現とL2能力との関連性

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  • ライティング ニ ミラレル テイケイテキ ゲンゴ ヒョウゲン ト L2 ノウリョク ト ノ カンレンセイ

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定型的言語表現(FS: formulaic sequences)が言語に広くみられることはコーパス研究 を通じて明らかにされてきたが、第二言語(L2)使用者にとって、上級レベルに至って もそれを使いこなすことが容易でないことは、多くの研究で指摘されている。本稿は、イ ディオム、コロケーション、慣用句、比喩のような、パターン化し、ひとつのまとまり (チャンク)としてメンタルレキシコンに蓄えられているとされるFS に焦点をあて、L2 学習者のライティングにおける定型的言語(FL: formulaic language)使用について調査し たものである。これまでの研究で、FS に関する知識や使用は、L2熟達度やスピーキング 力と関連することが明らかになっている。特に、L2スピーキングにおける流暢性の向上 は、使用されるFS のタイプの幅や使用数自体の増加と関わることが指摘されている。し かし、L2ライティングとFS 使用の関係については十分な研究がなされているとはいえ ず、また、ライティング評価との関連については、言語指導のためにもその詳細を明らか にする必要がある。 本研究では、71名の英語学習者からL2ライティングのデータ(英文エッセイ)を収集 し、FS の使用頻度やタイプについて詳細に調査し、それらとL2熟達度およびライティン グ評価との関連について検証した。その結果、FS 使用とL2熟達度、ライティング評価と の間に、先行研究で示された強い相関はみられなかった。しかし、記述データでは、L2 能力の発達に伴ってFS の使用頻度が次第に高くなることが示された。このことから、本 研究の結果は、先行研究と一致しないのではなく、むしろ、FS の使用頻度とL2熟達度に 明らかな相関が現れるのが、L2能力が一定レベルに達した後のことであろうことを示す ものであるとされた。つまり、学習者が十分にFS を使用できるようになるためには、一 定のL2能力の発達が前提になるであろうということである。

There have been increasing studies on the acquisition and use of FS (formulaic sequences), but only a little has been known about the details of FS used in L2 writing. In this article, I present the study investigating the relationship between the knowledge of FS and L2 writing. The present study examined 142 short essays written in English by 71 L1-Japanese speakers learning English. I used 8 types of FSs proposed in Ohlrogge (2009) and investigated the quantity of FS of different types used in writing. The results show no relationship between the use of FS and essay quality and L2 proficiency, but this was taken to suggest that L2 proficiency of learners may have to have reached a certain stage before a correlation with the knowledge of FS is observed. I suggest that learners need to develop their L2 knowledge enough before they are able to use FS successfully.

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