阿蘇草原の生物多様性評価指標の選定と評価 : 阿蘇北外輪山地域の採草地の例 [in Japanese]
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日本で最も広い草原面積(約22,000ha)を有する熊本県阿蘇地方でも,2005年に自然再生推進法に基づく「阿蘇草原再生協議会」が発足し,官民が一体となった草原の維持・再生に取り組んでいるが(高橋2011a,番匠2014,高橋2014),実際の保全活動や再生事業が生物多様性保全上の効果があるかどうかを評価するためには,実施者(牧野組合員)や支援者(ボランティア)自らが生物多様性の状態や管理の効果を認識・評価できる有効なツールを確立する必要がある。もともと阿蘇では植生のデータが極めて少ない。そのため,環境省九州地方環境事務所では,5年前から植生調査によって基礎データを蓄積しつつあり,それらを活用して現在,採草や放牧など管理方法を指標する植物種の抽出が試みられている。その結果,北外輪山地域の採草地に関しては,一般市民や農家に分かりやすい植物指標6種が選定され,それらを用いて草原の診断をする「阿蘇草原の生物多様性評価用調査マニュアル」(写真1)の制作に取り組んでいる。そこで,このような植物指標が実際現場で活かされるかどうかを検証するため,平成23,24年度阿蘇草原の生物多様性評価手法検討業務(環境省九州地方環境事務所)において実施された内容をもとに,指標種の有無と種多様性(種数)との関係性を解析した。
Journal
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- 農業および園芸
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農業および園芸 90(10), 977-984, 2015-10
養賢堂