阿蘇草原の生物多様性調査マニュアルの作成と活用 : 阿蘇北外輪山地域の採草地の例  [in Japanese]

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Abstract

近年,野焼き(火入れ),採草,放牧などの農的な営みによって維持されてきた半自然草原(以下,草原)が,生物多様性保全上極めて重要な生態系であると認識されるようになってきた(大窪2002,矢原・川窪2002,兼子ら2009)。しかし,生物多様性の概念は一般には分かりにくく,また,その評価には専門的知識が必要となる。今後,生物多様性保全の意義を広く浸透させ,社会で一般化するには,科学的根拠に基づく分かりやすい評価ツールの開発が必要である。日本で最も広い草原面積を有する熊本県阿蘇地方でも,2005年に発足した阿蘇草原再生協議会において,現在,農家や一般市民が草原の生物多様性を簡易に学べる仕組み作りが検討されている(高橋ら2015)。環境省九州地方環境事務所では,阿蘇草原再生協議会における草原再生事業の一環として,野焼きの再開や小規模樹林地の除去など草原管理作業を再開するための支援を行っている(番匠2014)。これらの支援事業が実際に生物多様性保全に効果をもたらしたかどうかを検証するには,草原再生の現場において,管理作業再開の前と後における生物多様性の変化を定量的かつ効率的に評価する必要がある。しかしながら,もともと阿蘇では植生のデータが極めて少なく(高橋ら2015),そのような評価手法の開発はこれまで行われてこなかった。前報(本誌10月号,高橋ら2015)で紹介したように,当事務所では2010年から膨大な植生データを蓄積しており,それらを基礎に,外輪山北部地域(以下,北外輪山地域)において採草や野焼きなどの管理を指標する植物種を選定した。今回,これらの植物指標を用いて生物多様性を簡易に評価する「阿蘇草原の生物多様性評価用調査マニュアル(以下,調査マニュアルと呼ぶ)」を作成したので,その概要を紹介する。なお,本調査マニュアルは,平成23~26年度阿蘇草原の生物多様性評価手法検討業務(環境省九州地方環境事務所において実施された内容をもとに,指標種の有無と種多様性との関係性についての解析結果(高橋ら2015)に基づいて作成したものである。

Journal

  • 農業および園芸

    農業および園芸 90(11), 1071-1078, 2015-11

    養賢堂

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    40020627846
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN0038751X
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    journal article
  • ISSN
    0369-5247
  • NDL Article ID
    026820852
  • NDL Call No.
    Z18-396
  • Data Source
    NDL  JASI 
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