討論活動における児童の聴き方と発話内容の関連:賛成論と反論に対する聴き方の偏りに着目して

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タイトル別名
  • Children's Listening in Relation to their Utterances in Classroom Discussions: Bias in Listening to My-side and Other-side Utterances
  • トウロン カツドウ ニ オケル ジドウ ノ キキ カタ ト ハツワ ナイヨウ ノ カンレン : サンセイロン ト ハンロン ニ タイスル キキ カタ ノ カタヨリ ニ チャクモク シテ

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抄録

本研究の目的は,賛成論と反論に対する児童の聴き方の偏りに着目し,聴き方と反対立場に対する発話内容との関連を明らかにすることである。対象は小学校3年生の1学級で行われた4回の討論活動とした。賛成論と反論に対する聴き方の偏りは,討論活動後に行った直後再生課題における再生数の違いとして近似的に捉えた。そして,討論活動ごとに「賛成論再生数―反論再生数」で求められる聴き方のマイサイドバイアス指数(聴き方のMB指数)を算出し,発話内容との関連について検討した。その結果,聴き方のMB指数が高い児童(賛成論をより多く再生する児童)に比べ,聴き方のMB指数が低い児童(反論をより多く再生する児童)ほど,反論に対する再反論を多く発話する傾向が認められた。また,聴き方の偏りと発話方法との関連について探索的に検討した結果,聴き方のMB指数が高い児童は自分と同じ立場の他児童の発話を繰り返す反復発話を行っており,それが既出発話に対する再評価の契機となることが示された。一方,聴き方のMB指数が低い児童は反対立場への質問を多く行う傾向にあることが確認された。以上の結果から,聴き方の偏りは発話内容と関連しており,特に再反論を促進する上では,反論に注意を向けて聴くように促すことが重要な指導となる可能性が示された。

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 26 (4), 358-370, 2015

    一般社団法人 日本発達心理学会

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